紀伊半島を縦断して、霧に浮かぶ山々の中を走り、丸山千枚田へ

 9月25日 A.M2時40分に家を出発。三重県熊野市紀和町にある日本一の千枚田が広がる丸山千枚田にA.M7時55分到着。途中、撮影時間をはさみながら山の中を180kmほど走り幻想的な景色に出会うことができました。
 夜も明けぬうちに出発したのは、今回私を誘ってくださった方が朝霧に浮かぶ山々をみたいという希望からでした。もうひとりの写真仲間の方と3人で出かけることになりました。
 3人とも大阪側の生駒山麓に暮らしていますので、生駒山を越えて奈良に入り、道24号線を南へ走ります。橿原市のお房で国道169号線をさらに南へと走ります。そして、ひたすら南へ南へと走っていると吉野川にぶつかります。
 そこで吉野川に沿って上流へ進みます。この道も国道169号線ですが、昔の名前では中街道から伊勢街道に入ったことになります。暗闇の中を走っていますので吉野川も吉野杉も見えません。
 169号線が伊勢街道と東熊野街道に分かれるところで、私たちは東熊野街道に進みました。長い長いトンネルです。と言ってもこの時間はトンネルの中のほうが明るいくらいです。
トンネルと抜けると少し明るくなっていました。大きなダムの赤い橋のところで一休みすることにしました。どのくらい走ったのでしょうか?
A.M5時45分です。大きなダムは奈良県吉野郡川上村にある大滝ダムです。
2011年9月12日「 奈良県吉野郡川上村迫付近 国道169号 土砂崩れ」の映像をみて驚いた記憶が蘇ります。道路はきれいに整備されていました。
 

大滝ダムにかかる橋





少し明るくなった車窓からの景色で紀伊半島の険しい山間部を通過」していることを実感しました。
深い谷を車は走っています。また大きなダムが現われました。
大迫ダムです。紀の川本川の最上流部に建設されたダムです。
大迫ダム







どんどん険しい谷に入っていくといった感じです。紀伊半島の心臓部です。
左に大台ケ原、右に大峰山脈山上ヶ岳・大普賢岳八経ヶ岳 )など紀伊山地の奥深く進んでいきました。
また、大きなダムがありました。平成の森や野鳥公園、きなりの湯などの施設がある池原ダムです。
池原ダムは国内最大の総貯水容量と湛水(たんすい)面積で、日本の大規模なダムの一つです。
次にでてくる七色ダムと関連した水力発電所になっています。ここは紀伊半島を流れる熊野川の上流です。
池原ダムから下り道になりました。少し下ったところに七色貯水池の七色ダムがあります。
この七色貯水池からは三重県です(三重県熊野市神川町
熊野川にそそぐ北山川沿いを169号線は下っていきました

国道169号線はさらに続きます。奥瀞道路を走ります。
ここは北山峡、瀞峡の近くです。道には筏下りの幟が並んでいます。
奥瀞、上瀞、下瀞と呼ばれ、下瀞は瀞八丁の名でしられています。巨岩、奇岩、断崖が続く名勝地です。
午前7時です。洗濯物を干している女の人が見えました。丸山千枚田への道を確かめました。すぐ近くに不動バイパス開通碑が建っていました。

瀞峡の筏下りの名勝地近く





不動バイバス開通碑と瀞峡筏下りの幟



















北山川沿いに走る国道169号線はそのまま下ると熊野川本流につながります。さらに熊野川に沿って下ると熊野灘に出ます。
私たちは169号線を離れて東にそれて国道311号線を進むことになりました。するとこれまでで一番たくさんの朝霧の海が広がっていました。
霧のの中に浮かぶ島のように山が浮かんで見えます。この風景が見たくて3時前から家をでてきたのです。
幻想的な風景を前にして 私たち3人は願いがかなったと喜びあいました。




















311号線からそれて走ったところにやっと丸山千枚田の看板が見えてきました。片道5時間かけて紀伊半島縦断の旅の目的地に到着したのは午前7時55分でした。
丸山千枚田は熊野市紀和町丸山にある1340枚を数える日本一の千枚田です。日本の棚田百選のひとつです。
山の斜面に石垣を築いて段々に水田が作られています。私たちが訪れた9月25日の前日(24日)にハサカケした稲はすべて取り入れが終わっていました。
女の方たちで田んぼの片づけをされていました。
丸山千枚田















千枚田の真ん中に大石がどかんと存在しています





大石を後ろからみる





田んぼの整理をする人たち





家から片道5時間の長旅をして丸山千枚田に辿り着きました。途中、紀伊半島の中心部を縦走してたくさんのダムを目にしました。想像していたよりダムは大きくてたくさんありました。
たっぷりの水、深い谷ですから 朝霧で谷が覆われる風景も珍しくもないことでしょう。朝霧が浮かぶ山々の幻想的な風景は感動的でした。
私は熊野川の上流にある川上村、北山村、十津川村を一度訪れてみたいと思っていましたので、今回やっと実現できました。
大台ケ原や大峰山脈から流れる水が熊野灘に流れ込み、それらの水によって豊かな生態系がはぐくまれていることがわかったような気がします。
今、山を守ることが人手不足や資源価値の問題で難しくなっているといわれています。しかし、山を守っていくことで私たちの生活も守られているのです。
都会だけが潤っても中心部が壊れてしまっては 取り返しのつかないことになるでしょうね。
美しい景色を見ながら、この深い山里に建つ家々の人たちはどうやって暮らしをたてておられるのだろうかと思いました。
美しい景色がいつまでも続いていきますようにと願いながら こころに刻みました。
丸山千枚田はオーナー田も多いようです。和歌山や大阪の人の田んぼがありました。蛍が飛ぶせせらぎもありました。