大和三山にはなぞがたくさんあります。
古代大和の象徴でもある大和三山は畝傍山と耳成山と天香久山の三つの山の総称です。
つくば日記で取り上げた筑波山は古事記や万葉集に登場する恋歌の山でした。男体山と女体山という二つ峰が仲良く並んでいるところから男女の歌が多いのも頷けます。
しかし、大和三山のロマンはかなり複雑で今でもなぞめいています。
畝傍山(うねびやま)は 198.8 mあり、三つの山で一番高い山です。きれいな釣鐘型なので、火山のようにも見えます。
天香久山(かぐやま)は152 mありますが、独立した山ではなく峰つづきですので、平らな丘のようにみえます。
耳成山(みみなしやま)は139.6 mと一番小さな山ですが、姿がいい山です。
よく近鉄大阪線の大和八木・耳成駅間の車中から眺めていました。容からなのか清潔感を感じる山です(?)
この大和三山がなぞめいているのは
たとえば、畝傍山は女性の山で、耳成山と天香久山が男性の山で恋争いをしたという伝説があります。
それは、中大兄皇子の歌
「 香具山は 畝火ををしと 耳梨と 相争ひき 神代より
斯くにあるらし いにしへも 然にあれこそ
うつせみも 嬬を 争ふらしき 」
「をしと」をどう捉えるかによるそうで、今もいろんな説があるようです。「雄(を)し」ととらえる説と「愛(を)し」と捉える説とでは山の見方がずいぶん変わってきます。
私が今回 藤原京跡から大和三山を眺めてみると、「天香具山」は山の姿がなだらかで女性的にみえます。それにこの山だけ「天」が付いていること、香具やが かぐや姫の語源とも言われる説もあることから女性の山のほうが説得力あるような気がしました。ただの見た感想だけで、何の根拠もありませんが・・・・
美貌の万葉歌人額田王と、彼女をめぐる中大兄皇子と大海人皇子の兄弟の恋争いの物語を重ねて考える人が多いところからロマンあふれる「なぞなぞ」が生まれてきます。
「あかねさす 紫野行き 標野行き
野守は見ずや 君が袖振る」
額田王
「紫草の にほへる妹を 憎くあらば
人妻ゆゑに われ恋ひめやも」
大海人皇子
ふたりの皇子に愛された額田王はどんな女性だったのでしょうか? 額田王はどちらを愛したのでしょうか?
大和三山のどの山が額田王だったのかしら?・・・と眺めると、どこからでも目立つ山は畝傍山ですので、やはり「畝傍山」は背が高くても額田王かな?・・・と思ったりしました。