大阪市大の植物園は森の中( 大阪市大理学部付属植物園 )
5月20日にユリノキの花を間近で見たくて大阪市大植物園にでかけたとき、「ササユリ」は6月初めごろに咲くと聞きました。
6月4日に電話で聞きますと「今 満開です。今週いっぱいが見ごろでしょう」というお話でした。
5日は小雨が降っていましたがササユリが見たくて思い切って出かけることにしました。
ここの植物園は交通の便が悪いからでしょうか、いつも来園者が少ないです。
雨降りの5日はさらに来園者が少なくて 大きな植物園を独り占め状態でした。
雨の中レインコートを着て森の奥にどんどん入っていきました。
ユリノキの大木、メタセコイア、シイノキ、タブノキ、ホウノキ、スギノキ、ニレノキ、ブナ、ミズナラ・・・と大きな木が枝を広げ、葉を茂らせています。
小雨の中を歩いているとウグイスの鳴き声の間に森のささやきが聞こえてくるようです。
満ち足りた気持ちになります。ずっとずっと森の中を歩いていたいと思います。
今日、ここにやってきた目的を忘れそうです。
やっとみつけたササユリは急な斜面に咲いていました。
ササユリは本州中部から西の方に分布する多年草で、山地の草原や明るい森林に生育します。葉が笹の葉に似ていることから「ササユリ」と呼ばれるようになったそうです。
花が咲かないと笹の中では見つけることが難しい草です。
昔、私が子供のころ ササユリは珍しい花ではありませんでした。山に入ればどこにでも咲いていました。
ササユリは種子で繁殖しますが、種子から芽生えたササユリは数枚の根生葉を出すだけですので、幼苗の時期には 光が当たっている場所が必要になります。
開花するようになるまでには5年ぐらいかかるといわれています。
このごろササユリがあまり見られなくなった原因に里山が荒れてきたことと関係があるそうです。
イギリス人で日本の森を守る活動をされているC.W.ニコルさんが本の中で
「自然はそのままがいいという人がいます。
それは森の仕事をしたことがない人です。
豊かな森は人が手入れしなければならない。
森は人を必要とし、人は森を必要とする」
と書かれていました。
ササユリは人が下枝を切ったり、木の伐採をしたりして、森に光を入れてやることで生きてきた植物だそうです。
里山は人の生活と密接に関係し、利用されることによりその自然が守 られてきました。
このごろ、人が森の中に入らなくなって 森が荒れてきたのでしょう。
森を守るための仕事として 木の枝をつかったエネルギーの利用などを考えている人たちがおられるそうです。
里山の自然環境のバロメーターとして「ほたる」が取り上げられます。
それと同じように「ササユリ」は生きている森の信号みたいな花だと思います。
日本特産で日本を代表する「ササユリ」は「カサブランカ」のような華やかさとたくましさはありませんが 可憐で優しい風情の花です。
大きなヤマボウシの木1本で辺りを白く染めるなんてすごいです。見惚れてしまいました。
サラサウツギの色がとても優しくて大好きな花のひとつです。今年はなかなか会えなくてやっと会えました。
雨が似合う 「ほたる」「ササユリ」ですが これらは人間と深い関係がある生き物ですね。
「ほたる」は人に付く昆虫と呼ばれます。清流と言っても人が全くいないところでは育たなく、人との距離を保ちながら生きている昆虫だそうです。
「ササユリ」も荒れた森ではなく 人の手がはいった森や里で生きてきた植物だそうです。
そんなことを考えると いっそう愛しくなりますね。