ひょうたん展

植物園で瓢箪の作品展をしていましたので、すこしだけ覗いてみました。
「瓢箪」と聞いただけで反射的に「清兵衛と瓢箪」という題名がでてくるほどです。志賀直哉の作品ですが、感動したわけでもないのに 妙に記憶に強く残っています。

小学生の清兵衛が瓢箪を磨くことに夢中になっていた。それが高じて学校まで持っていって授業中に瓢箪を磨いているところを咎められる。瓢箪はとりあげられてしまう。その上教師は家庭訪問して父親にまで注意する。怒った父親は瓢箪をすべて壊してしまう。清兵衛といえば、すぐに瓢箪のことを忘れて 今度は絵かくことに夢中になっていく。すると父親はそのこともよく思わない。・・・といったような内容でした。
清兵衛が学校で没収された瓢箪が小使いさんの手に渡り、骨董屋へ売りにいく。当時の小使いの給与四ヶ月分にあたる50円で買い取られ、骨董屋はある富豪に600円(今の120万円ぐらい)で売る。そしてそのことを知る者は誰もいないというオチがついていました。父親が、教師が瓢箪の値打ち(値段)を知ったらどう思ったでしょうね。

私はこの物語が好きになれませんでした。しかし今でも読後の妙な気持ちを覚えているのです。変ですね〜・・・
今回この瓢箪展をみて、瓢箪の歴史が古いことと世界中で瓢箪が栽培されていることを知り 瓢箪にすこし愛着を持ちました。
瓢箪はうり科植物でユウガオの変種です。
瓢箪は最古の栽培植物のひとつです。 
土器に先立つ歴史があり、たくさんの容器がつくられ、生活品がつくられ、古来より世界各地で生活に深く結びついたものだったそうです。
原産地はアフリカで 1万2千年前に南米に伝わり、1万年前に東南アジア伝わり広く繁殖していったと記されていました。
そもそも瓢箪はとても強い植物で 2年間海水に浮かべても種子の発芽能力は低下しないのだそうです。だから1個が漂流しても その地で繁殖することは簡単なことだったでしょう。

瓢箪で作られた器や楽器も展示されていました。

清兵衛と瓢箪」の物語から想像しても驚くべき瓢箪です




1m以上もある瓢箪。育てるのが大変だったでしょうね。




透かし彫りが美しい瓢箪









瓢箪でつくった茶道具一式




瓢箪で作った楽団




瓢箪のトラ




力作ぞろいの瓢箪の作品展でした。私も小さい瓢箪づくりをした経験があります。何年経っても壊れない瓢箪に驚いたものです。植物の実がこんなにも丈夫であることにも大きな意味があるのでしょうね。

ビオラの花の横には芍薬の芽が自分の出番を待っていました