和歌山県の山深くにある 扇形の棚田「あらぎ島」

和歌山県は 地理的には紀北と紀南とに大きく分けられます。しかし、南北の中間に位置する「紀中」という地域概念もあるそうです。
その紀中にふくまれる有田郡清水町に「日本の棚田100選」にも選ばれている「あらぎ島」があります。棚田に名前がついているのも珍しいそうです。
島といっても陸続きですが、国道480号線から見おろすと、扇を広げたような形の棚がまるで川に囲まれた島のようにみえます。
蛇行する有田川の自然の流れがつくりあげた川中島のような孤立した傾斜地に大小の水田54枚が階段状の扇形に開かれている景色は 他の棚田と違った美しさです。

知人のJさんは何度もこの「あらぎ島」に出かけておられるということでした。私もJさんの写真や和歌山県広報の写真を見て、一度出かけたいと思っていました。
しかし、機会が見つからなくて延び延びになっていたところ、Jさんが5月25日に連れて行ってくださることになりました。
関西はすでに梅雨入りしていましたので、雨降りの日が続いていました。ところが25日だけは晴れそうということで、朝4時起きしてJさんのお迎えを待ちました。
東大阪石切から近畿自動車道、阪和自動車を1時間少し走って有田ICで下りると国道480号線を有田川に沿ってひたすら走り続けます。1時間と少しで到着です。大阪から2時間半ぐらいのところにありました。

国道480号線から見おろす棚田














昨晩、 NHK BSシネマ 山田洋次監督が選んだ日本の名作100本の中のひとつ、新藤兼人監督作品「裸の島」を観ました。1960年の作品で、モスクワ国際映画祭でグランプリを受賞しています。私は1962,3年にも観たことがある映画です。
瀬戸内海の水のない小さな島に住む一家の生活は 小舟で水を運びそれをやせて乾いた畑にまくことから始まります。繰り返し繰り返し水を運び続けるシーンが流れます。ほとんどセリフがない映画ですが、家族のありようがよく伝わってくる名作です。
この棚田の風景と重なります。この棚田も有田川に囲まれているようで、水をひいてくるのが難事業だったそうです。生産性が低く、すべて手作業の棚田は今では維持することは難しいですが、半世紀前の日本は「耕して天までとどく」風景は珍しいことではなかったです。










5月25日 有田川に沿って「あらぎ島」に向かって行く途中 美しいダム湖があり、赤い橋「蔵王橋」がかかっていました。朝の光で鏡のように輝くダム湖を眺めていると、女の人が近づいてこられました。「今日、『あらぎ島』で早乙女祭がありますので是非きてください。」と、田んぼの近くに下りる道や駐車できる場所を丁寧に説明をしてくださいました。有田川町長さんも手植えされました。(左から2人目)










有田川は高野山を源流とし、みかんで有名な有田市へと流れる河川です。
中流域に関西電力の三田発電所(水路式)と二川ダムを利用した岩倉発電所(ダム水路式)があります。
「あらぎ島」の横には三田発電所の取水堰がありました。
「あらぎ島」の横にある取水堰





私たちが訪れた時、鮎漁が解禁になっていましたので、釣人たちがたくさん有田川に並んでいましたネ。
有田川のダム・二川ダム







ダムに朝日が映って・・・





ダム湖にかかる蔵王





鏡のような水面












「あらぎ島」は有田川町のシンボルです。あらぎ島の近くには「しみず温泉」と「二川温泉」があります。ホタルもたくさん飛ぶそうです。地元のみなさんは訪問者に気持ち良く接して下さいます。
私は この有田川町にご縁があったのでしょうか? 5月25日に続いて6月3日にも朝4時起きしてでかけました。というのは、早乙女祭の写真を撮った場所に三脚を忘れてきたことに 帰宅してから気づきました。慌てて町の産業課に電話すると、すぐに単車で田んぼまで捜しに行ってくださったのです。
そのお礼と三脚を受け取りに6月3日に出かけました。帰りは地道で高野山の方から 橋本、河内長野を廻り、道の駅にも立ち寄り、新鮮な野菜をたくさん買いました。
今度の「あらぎ島」行きで自然豊かな和歌山を再発見したような気がしています。
紀ノ川(貴志川)、吉野川日高川、富田川、日置川、古座川、熊野川赤木川、北山川、十津川
も廻ってみたいと思うようになりました。