飛鳥アートプロジェクト

 11月23日〜12月25日まで 奈良の明日香村で「飛鳥アートプロジェクト」が開催されています。
「千数百年前から飛鳥に伝わる謎の石造物群などの古代アートと現代アートとのコラボレーション」というテーマで、明日香村の各地でさまざまなジャンルでアートが展示されているようです。
 私は霧の彫刻家・中谷芙ニ子さんの「霧のインスタレーションという作品の写真を知人のJさんにみせてもらい、煙の中に浮かぶ石舞台が幻想的でしたので、機会があれば出かけたいと思っていました。そのJさんが12月12日に3人で石舞台の写真を撮りにいかれるときに ご一緒させてもらうことになりました。
 先に、明日香の稲ぶちの棚田にでかけました。ここは田んぼが黄金色に輝く時、彼岸花も田を縁取り、その年のテーマでつくられた案山子が並び、たくさんの人が訪れます。私も毎年この稲ぶちの棚田の写真を撮りにきますが、この時期に訪れるのは初めてです。静かな本来の村里の風景がひろがる風景は懐かしい気持ちになります。
 案山子がたっていた場所に大きな龍がいました。遠くからでも目立つ大きな龍です。
 

飛鳥アートプロジェクト2011 IN棚田










龍を稲ふちの棚田に出現させた理由が書かれていました。
「稲作とその藁を使った『藁をなう』作業は古来から切っても切れない農村の作業でした。なわれた縄は、農作業をはじめ日常生活の様々な場所で活用されてきました。
しかし、近年縄をなうということが日常生活から消えていき、伝承行事の折に特別につくられるものへと変わってきています。
今、縄をなうという経験を持つ人たちも激減してきています。
アートプロジェクトでは、その技術を持つ人とともに、私たちがつくったお米の藁を使って藁をない、大きな龍を棚田に出現させたいと思いました。
来年の干支 辰 龍であると同時に 稲淵の『雨乞いの踊り』は竜神さまのお祭でもあります。」

古来から稲の生産が盛んであった日本では、藁は大量に出る副産物であり、これをいかに利用していくかが生活そのものであったと言われるほどでした。笠や蓑、草鞋、藁手袋のほかに藁布団もありました。箒や俵、縄跳など野他にも、燃料、肥料、飼料などずいぶん利用されていましたが、今はどれほど使用されているのでしょうか?
そうそうもうすぐお正月。お正月の注連縄には藁が欠かせませんね。

晩秋の稲ぶちの棚田風景







 
眠ったような明日香村の風景






石舞台古墳の「霧のインスタレーション

石舞台古墳は もともとは土を盛りあげてつくられた墳丘だったそうです。土がなくなって、巨大な石が横たわって露出しています。上に覆いかぶさった大きな石が平らであることから石の舞台と呼ばれるようになったそうです。この横穴式石室の埋葬者としては蘇我馬子が有力視されています。何しろ古のまほろばにあります。それだけで幻想的な風景です。そこに煙をたいてさらに夢の世界にいざなう計画のようです。しかし、風の影響で煙が流れたりもするようです。
 夕景の「石舞台」はさらに幻想的だそうですが、私は午後2時の煙をみてすぐに帰ることになり残念でした。夕日に染まる空と灯りに照らされる石舞台の様子を想像しています。25日までに機会があれば もう一度でかけてみたいと思います。













「追記」
先日(12月15日)聖徳太子の父、用明天皇(在位585〜587年)らが宮殿を構えた大和王権の重要地域・磐余[いわれ]にあたる奈良県橿原市東池尻町で、日本書紀万葉集に登場しながら所在地が不明だった「磐余池」の一部とみられる6世紀の堤跡が見つかったと、橿原市教育委員会発表しました。
谷筋の水を堤でせき止める国内最古の「ダム式ため池」が一帯に広がっていたことが判明したそうです。古くから都では水問題は大きな問題だったのでしょうね。
これまでは 大阪の狭山市にある狭山池が、日本最古のため池ダムでした。