生駒山がご神体といわれる「往馬大社(いこまたいしゃ)」

 生駒山東麓に「往馬大社(いこまたいしゃ)」があると聞いていました。生駒山がご神体の神奈備(かんなび)と言われています。大神(おおみわ)神社石上(いそのかみ)神宮と同じように生駒山を神体山として祀られた日本で最も古い形態の神社です。
 正式には「往馬坐伊古麻都比古神社(いこまにいますいこまつひこじんじゃ)」というそうです。なるほど名前の通り生駒山におられる神様です。生駒神社とも呼ばれます。
 最も古い記述は、『総国風土記雄略天皇3年(458)条に「伊古麻都比古神社」とあるとか・・・
 一度出かけたいと思いながら10年以上もご縁がありませんでしたが、先日奈良にでかけた帰り、急に思いたって立ち寄ってみることにしました。
皇室ゆかりの火を司る神を祀る神社と聞いていましたが、ひっそりと静まり返った境内は時間が止まったような、忘れられたような佇まいでした。

左の石段を上ったところに拝殿がありました。





石段の中ほどのところから拝殿がみえてきました





下を振り返ると





拝殿










本殿の御祭神は、もとは生駒山の神である、産土(うぶすな)大神の2柱でした。
伊古麻津彦命(いこまつひこのみこと)
伊古麻津姫命(いこまつひめのみこと)

 伊古麻都比古神・伊古麻都比賣神は古代より火を司る神として信仰されています。歴代の天皇即位の際に、火を起こす道具である火燧木(ひきりぎ)を往馬神社から献上してきたそうです。
10月第2日曜日(元は10月10日)の例祭は「火神祭」と呼ばれ龍田大社の風神祭、廣瀬大社の水神祭とともに古来より朝廷の崇敬を受けてきました。

 鎌倉時代になって武家の守護神である八幡信仰が盛んになり、八幡神にかかわる5柱の神が合祀され7座の神が祀られるようになったそうです。
気長足比賣尊(おきながたらしひめのみこと。神功皇后
足仲津比古尊(たらしなかつひこのみこと。仲哀天皇
誉田別尊(ほんだわけのみこと。応神天皇
葛城高額姫命(かつらぎたかぬかひめのみこと。神宮皇后の母君)
息長宿禰王 (おきながすくねおうのみこと。神宮皇后の父君)

拝殿の背後に、7連の春日造桧皮葺の本殿がみえます







拝殿前には二本の杉のご神木がありました

このご神木は二度も落雷にあって燃えましたが、また新芽を出し、災いに負けない強い生命力をもったご神木として祀られていました。







この杉の木は鎮守の杜で一番高い聳えています。社全体を見渡せるこの杉の木を神籬(ひもろぎ)として信仰してきたそうです。






今年は春が遅いようです。生駒山はまだ茶色の山です。ソヨゴの赤い実やウメモドキの赤い実が目を楽しませてくれます。
ソヨゴの実







ウメモドキの赤い実





寒い中でもオオイヌノフグリは可愛い花をさかせていました