大阪・河内長野の岩湧寺周辺は秋海棠の花で埋め尽くされていました。
お盆を過ぎると我が家の木立の陰で秋海棠の花が咲き始めます。島根の亡母が好きな花でした。古里のうす暗い中庭でピンクの可愛らしい花をつけていました。夏に帰省すると、亡父が秋海棠の掛け軸をかけて 少し得意そうな顔をしてみせたのを思い出します。
我が家の秋海棠は母が畑の収穫物と一緒に送ってくれたものです。秋海棠の茎は折れやすく、日陰でひょろひょろと立っているので 弱々しくみえます。しかし、花が咲いた後、茎にできるムカゴがあちらこちらに飛んで次の年は思わぬところに芽を出し花を咲かせます。見かけによらず繁殖力が強い植物です。
一昨年(2010年)9月に 河内長野市にある岩湧山の中腹岩湧寺の秋海棠をみてからは 秋海棠のイメージがかわりました。狭い道を車で通っていく時にも一面の秋海棠の花が車内にも入り込みそうなほどです。これだけたくさん咲いているところが他にあるのでしょうか?
田舎の庭で咲く花のイメージと違って「もののけの花園」のような雰囲気です。もともと仏壇に供える秋の彼岸の花として岩湧寺の周囲に植えられたものが、野生化したといわれています。(今年も9月12日に岩湧寺にでかけました。)
多宝塔は天文年間に建てられと伝えられています。多宝塔の本尊大日如来像も国の重要文化財です。
役小角(えんのおづぬ)が開基したお寺で、山伏たちの修験道場として栄えたお寺です。創建は大宝年間(701年〜703年)とされています。後に文武天皇の勅願寺に定められ、桃山時代は豊臣氏の庇護を受けたとありました。
雌花は下向きに三角形の下に花を咲かせます。小さなスカートが並んでいるように見えます。
大小のハート型の葉にも趣があり、雄花は上を向き、雌花は下向きに咲く秋海棠。
今にも折れそうに曲がった枝にも趣があり、花に埋もれて夢の世界に佇んでいるような気がしました。