お地蔵様とあじさいの寺「矢田寺」へ
10日前に(6月10日)にあじさい寺とも呼ばれる奈良の郡山にある矢田寺に出かけた時には、梅雨入り発表があったというのに ちっとも雨が降らず、真夏のような暑さが続いている時でした。
矢田寺の紫陽花は色づき始めたばかりでした。西日本では水不足で田植えもできないところがあるほどでしたので、あじさいの咲き具合を気にしていましたが、思っていたより元気に咲いていました。
ところで、あれから10日経ちやっと雨が降り始めたのはいいのですが、その降り方とやらは 1日で1月分の雨量というほどの異常さです。水不足は解消できたものの、今度は土砂崩れなどの心配が出てきました。
大和郡山市の矢田丘陵の中腹にある矢田寺は昔から「お地蔵様とあじさいの寺」として有名です。正式名称は金剛山寺(こんごうせんじ)といって高野山真言宗の寺院です。
矢田丘陵の中腹にある山寺で、寺の歴史は古く、1300年ほど前に起こった壬申の乱の時のことだそうです。大海人皇子(天武天皇)が戦勝祈願をし、戦勝後七堂伽欄48カ所坊を造営したのが始まりです。
「お地蔵さんのお寺」と呼ばれるようになったのは それよりずっと後の平安初期のことだそうです。矢田寺中興開山といわれる満米(まんまい)上人が地蔵菩薩が安置してからのことだそうです。
では、「あじさい」はいつの時代に植えられたものでしょうか?私が「矢田寺」を知ったのは「あじさいの寺」としてでしたが、それほど古くからのことではないようです。今では、8000株、60種類あじさいが植えられて「あじさいの森」のようになっていますが、40年ほど前に植えられたようです。
あじさいは「万葉集」にも登場する日本古来の花で、名前の語源はいろいろな説があるようです。中でもっとも有力とされているのは、「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」がなまったものとする説ということですが、なんとなく頷けるようですね。
あじさいはガクアジサイとアジサイ(ほんあじさい)にわけられ、ガクアジサイは中心部に両性花があり、周辺に装飾花があります。
装飾花の3〜5枚の花弁に見えるものは萼(ガク)で、装飾花にも雌しべと雄しべがありますが、結実しません。
中央部の両性花には5枚の花弁があり、10本の雄しべがあります。
アジサイ(ほんあじさい)は、ガクアジサイの両性花が全て装飾花に変化したもので、結実しないそうです。
江戸時代よりこのお地蔵さんの口元に自家製の味噌を塗ると味噌の味がおいしくなるという伝説があります。
右のお地蔵さまは あじさいの森の中にひっそり佇んでおられました。
イワガラミ、ツルアジサイ、ノリウツギ
シチダンカ、ヒメベニガク、ヤマアジサイのクレナイ、黒姫アジサイ、アマチャなどホンアジサイとは違った素朴な風情があります。