「本薬師寺跡(もとやくしじあと)」周辺を薄紫に染めるホテイアオイの花

 毎年8月の終わりごろから10月ごろまで 奈良の橿原市にある本薬師寺跡周辺は一面の薄紫の花で覆われます。
 私は2007年から毎年でかけていますが、今年は8月29日に出かけました。

 1996年から 本薬師寺周辺の休耕田を活用しようという人が集まって ホテイアオイを植えるようになったのが始まりで、2009年からは近くの畝傍北小学校2年生、3年生も一緒になって植えているそうです。

 大和三山のひとつ畝傍山がみえる広い田んぼが薄紫一色に染まる景色は なかなかのものです。
1.4ヘクタールの場所といえば、田んぼ10枚分ほどでしょうか。そこに14,000株のホテイアオイが植えられています。
 「本薬師寺跡(もとやくしじあと)」とは藤原京時代の薬師寺があったところです
藤原京から平城京に遷都されるとき、ここの建物も奈良の薬師寺に移され、奈良の薬師寺と区別するため「本薬師寺跡(もとやくしじあと)」と呼ばれます。今この地に建物はなく礎石と土壇を残すのみです。
 

正面にみえるのは大和三山のひとつ畝傍山













小さい森のようなところが薬師寺です





小さなお堂と1300年前の礎石が残っています







孔雀の羽根のような花弁






















南アメリカ原産で、水面に浮かんで生育するホテイアオイ(布袋葵)は、ミズアオイ科に属する水草です。涼しそうな青い色がこのまれて観賞用に栽培されます。
しかし、この美しい花とセイタカアワダチソウとブタクサは「世界三大害草(または10大害草)」に挙げられるほどの有害な帰化植物です。
繁殖力が強く、肥料分の多い水域では、あっという間に水面を覆い尽くし、水の流れを滞らせ、魚などの生き物が酸欠で死んでしまうので、「青い悪魔」とも呼ばれ恐れられているそうです。
その反面、水質浄化に役立ち、藻の発生をおさえて光合成能力が高いことから環境保持に適した植物とも言われています。
水槽に入れると 水が浄化され汚れが少なくなるのは、ホテイアオイが水中の窒素やリンを吸収してくれるからだそうです。
管理して育てれば、美しい花も楽しめ、害草でなくなる植物です。ここでは地域のグループの人たちや畝傍北小学校の児童、橿原市の農業振興課も関わってきちんと管理されているので、「青い悪魔」にならず「ウォーターヒヤシンス」として 名所のひとつになっているようでした。
名前の由来になった布袋の浮き袋で浮かぶ水草です。