桜の咲く春は、森の中ではピンクの蝶が舞っています。

 スプリングエフェメラルの代表格「カタクリの花」は「森の妖精」とか「春の女王」とよばれるほど多くの人を惹きつける花です。太陽が昇るとともに花弁が開いてピンクの蝶が一斉に森の中で踊り始めるような光景がみられます。雨の日や曇りの日は花弁は開かず、下向きに閉じたままです。

 片栗(カタクリ)の名前から「片栗粉」をすぐに思い浮かべますが、カタクリユリ科に属し、根はりん茎となり良質のでんぷんがとれます。しかし、現在の片栗粉はジャガイモのでんぷんで作られています。かつてはカタクリのリン茎から片栗粉をつくっていたのでしょうね。
 温帯性夏緑林の林床に生える多年草であるカタクリの一生は、7〜8年の1枚葉の時期を経た後、2枚葉の個体となりやっと開花するそうです。花が咲くまでに7〜8年もかかるのです。
 温帯性夏緑林の夏緑林(かりょくりん)は冬の低温によって落葉する広葉樹を主体とする樹林です。温帯北部で、夏期に十分な降水のある地帯に発達するので、日本では本州中部の山地帯から北海道の低地にかけて分布ししています。低地ではクリ・ケヤキ・コナラなど,山地ではブナ・ミズナラなどが多いところです。カタクリは日本の山地に適した植物だったのがですが、乱獲によって減少していったのでしょうか。
今年はなかなかカタクリの花に出会えなくて 4月1日に出かけた時は 半分ほど花の色が変色していました。