観心寺の境内で桧皮の採取の様子 

観心寺の境内に 楠木正成首塚があります。湊川の戦いで討死後、足利尊氏の命によって首が観心寺に送り届けられ、ここで祀られたということです。
その首塚の前に数本の檜の大木がありました。木の上で檜の皮をはぐ作業をしておられました。
「この寺で葺きかえがあるのですか?」と訊ねますと
「この皮は京都の清水寺におくるもの」との返答。
出雲大社にもおくったことがあるそうです。
昨今檜皮不足で銅板葺きにするところも多いとか。ヒノキの大木が少なくなったことと、檜皮を採取する原皮師(もとかわし)が少なくなっていることからやむを得ない状況だそうです。
檜の樹齢70〜80年以上の立木から採取するのですが、樹皮がもとのようになるのには8年〜10年もかかるとのことでした。

檜皮葺(ひわだぶき)の材料採取







檜皮葺きの屋根は日本古来からの独特の屋根だったそうです。飛鳥時代に仏教の伝来とともに瓦葺きが伝来します。しかし、瓦葺きは仏教建築にだけ使用され、他の建築物に使用されることはありませんでした。
宮廷の建物でも庶民の家でも、屋根は茅葺き、板葺きなど日本古来から伝わる植物系の屋根材で葺かれていたそうです。その中で桧皮葺の屋根はその美しさと材料入手の困難なこと、手間がかかることなどで高級な屋根の材料でした。

皮をむかれて 真っ赤な肌になったヒノキ




檜皮葺(ひわだぶき)と同じように屋根材として杉皮(すぎかわ)葺があります。
杉の皮を葺いていますが、外見的にはあまり違いはないようですが、年月が経つと杉皮は縦に割れてささくれだってめくれてくるそうです。
また、檜皮は立ち木のまま皮をはがすのに対して杉皮は杉の木を切り出して皮を剥ぎます。
それは 檜は外皮をはいでも枯れないで再生するのですが、杉は杉皮として使用する部分を剥ぐと枯れてしまうからです。ヒノキとスギの違いを教わりました。