大阪枚方市に 日本の文字のルーツ・王仁(ワニ)博士の墓があります

 日本の古代史に登場する卑弥呼は中国の史書魏志倭人伝に記されている倭国の王(女王)ですが、その記録が日本には存在しないので、卑弥呼が治めていた邪馬台国の都は九州説と畿内があり、いまだ謎を秘めています。中国の史書からし邪馬台国の存在が残っていないのですね。
魏志倭人伝(ぎしわじんでん)は、中国の歴史書三国志』中の「魏書」第30巻烏丸鮮卑東夷伝倭人条の略称  (Wikipediaより)>
 
 畿内説の邪馬台国(やまたいこく)の候補地である纒向遺跡が出現する3世紀はちょうど弥生時代から古墳時代へと時代が移り変わる時期にあたります。
 この頃の日本には文字がなかったのでしょうか?

「日本最初の文字」はいつの頃にできたのでしょうか?調べてみますと、、
 日本に正式に文字が伝えられたのは古事記日本書紀によれば応神天皇の時(4,5世紀位)らしいのです。百済王の命令で王仁(ワニ)博士が「論語」「千字文」を天皇に献上したとありました。
しかし、千字文は6世紀にできたもので、この時に伝わったというのには疑問があり、王仁(ワニ)という人の存在もはっきりしていないようです。
 王仁博士の存在はどうであれ、4.5世紀ごろに儒教と漢字が当時日本の友好国だった百済から伝わったようです。第1回遣隋使は、600年(推古8)に派遣されましたが、漢字が伝わったのはそれより早かったと言われています。
 <注)5世紀後半に倭王武の上表文が宋書に載っていることから5世紀頃には漢字が伝わっていたのは確実のようです。>

 伝説上の人物ともいわれる漢字と論語を日本に伝えたとされる王仁博士の墓が大阪・枚方市にあります。
 私は2007年にも訪れています。 http://d.hatena.ne.jp/ikomanokaze/20070710
7月10日 久しぶりに訪れてみました
 

目に鮮やかな百済





王仁の墓と「伝」がついています。







1992年に大阪府教育委員会枚方市教育委員会の建立












王仁博士の墓のまわりで韓国の国花のムクゲが咲いていました。
韓国の国花で無窮花(ムグンファ)は木槿ムクゲ)と呼び日本でも奈良時代から咲いているそうです































 今から3500年も前に中国で生まれた漢字が日本に最初に伝えられたのは朝鮮半島を通って伝わったのです。
伝来した時代ごとの中国の音の違いが、そのまま日本に入って定着し、その時々の中国から入ってきた音のの違いによって日本では同じ漢字でもいくつかの音読みが残っています。中国の音は「呉音」「漢音」「唐音」に分かれるようです。最初に日本に伝わったのは呉音です。朝鮮半島を経由して日本に伝わったため「対馬音」とも呼ばれています。
呉音は長江(揚子江)の下流域地方の音で、「利益」を「りやく」、「自然」を「じねん」、「変化」を「へんげ」、「金色」を「こんじき」と読み、南方の発音に似ていて、女性的な柔らかい響きがする発音だそうです。
 百済朝鮮半島西南部を治めていて、中国南部の優雅な文化を早くから取り入れ、文化性の高い国だったそうです。仏教もインドから中国へ 中国から百済へ 百済から日本へ伝わったので、今でも仏教用語は呉音で読むことが多いそうです。
 7世紀から9世紀にかけての奈良時代から平安時代の初期になると、遣隋使や遣唐使が派遣され、当時の唐の都・長安(現在の西安)に留学するようになりました。そして、朝鮮半島を経由しないで、直接先進的な唐文化が日本に伝わるようになります。この時代は中国西北地方の「漢音」が日本に入ってきました
 
 当時の学者というか役人というか漢字を習得した日本人のすごさは 中国の漢字をそのまま読まないで日本流に咀嚼して読んだことではないでしょうか?私たちが高校で漢文学習中に「訓点」を使って漢文を読むことによって 日本式に理解していきましたが、それを考え出した人はどれだけの漢字を咀嚼したことでしょう。
漢文を日本語の語順で読むための記号・訓点訓点は、句読点・返り点・送り仮名)を使った日本式の発明である訓読み漢文をそのまま読む音読みの二つを使用することによって言語の発展があったと言われています。
 
 漢字は世界の言語の中でも珍しい表意文字です。字数が多いことと難しいことで覚えるのは困難ですが、それを補う形で漢字をくずして表音文字の仮名文字の発明です。仮名文字が作られたのは10世紀の始めごろです。
 仮名文字を発明し、漢字と組み合わせることによって、日本人は、漢字に置き換えられる単語は漢字で、置き換えられない単語は仮名文字で表記するようになりました。そのことによって 日本人は自在に日本語を表記できるようになったのでしょう!
 現在、中国では簡体字が使われています(表意文字の体をなしていないものも多いです)。日本でも簡略化された漢字が使われています。それでも表意文字である漢字から伝わる文字には親近感を覚えます。今年4月に訪れた韓国ソウルでは ほとんどハングルで表記されていましたので 言語的には中国より遠い国に思えました。
 現在 漢字が一番発達している国は日本かもしれないとは 自分勝手な思いです。そして今ある漢字には先人の知恵がいっぱいつまっているような気がします。表意文字である漢字と表音文字である仮名文字を組み合わすことで表現の大きさを広げていったのでしょうね。