ナンキンハゼの紅葉はいち早く紅葉して、季節を知らせる信号灯のようです。

葉の赤色は色素「アントシアン」によるものだそうです。アントシアンは春から夏にかけての葉には存在せずに、秋に葉に蓄積したブドウ糖と紫外線の影響で発生するようです。
紅葉現象は主に落葉樹に見られますが、一般に三種の色素、葉緑素、カロチノイド色素、アントシアン色素の量比によって色調が変わると考えられています。
 カエデの紅葉にさきがけて奈良公園ではナンキンハゼは赤く染まります。鹿がナンキンハゼを食べないので、奈良公園はナンキンハゼの木が多くはえていて、他の場所より早く公園が真っ赤に染まります。
11月9日、奈良公園を訪れると、下も上も真っ赤に染まっていました。
 











信号灯のような飛火野のナンキンハゼの木





ナンキンハゼの白い実

ナンキンハゼ(南京黄櫨)中国の南京(ナンキン)原産のハゼということからついた名前ですが、ハゼの属するウルシ科ではなくトウダイグサ科の植物です。ハゼノキの代わりにろうをとる材料として使われるようになったことからナンキンハゼと呼ばれたそうです。江戸時代に中国から渡来してきた植物です。













































春日園地では桜の葉の紅葉がきれいです










樹木の紅葉といえば、イロハモミジを思い浮かべます。カエデ科の数種をモミジとよび、紅葉狩りといえばカエデの色づきをさすことが多いです。
しかし、春日園地の桜葉の紅葉、奈良公園のナンキンハゼの紅葉、ハナミズキの紅葉もカエデに劣らずみごとですね。
もみじというと「紅葉」と「椛」の漢字がでてきます
「椛」は国字で、もみじの木であることが書かれています。木へんに花と書いて「モミジ」なのですね。
葉の色が「紅葉(こうよう)する」ことではなく、植物名としての「モミジ」(イロハモミジなどカエデ科の植物、葉の形が掌みたいなもの)のみを指すようです。

以前のブログにもとりあげましたが、奈良公園は鹿が植生に影響している場所なので、ナンキンハゼと同じように鹿が食べないことでよく育っている馬酔木(アセビ)やイラクサの変化(茎や葉にチクチクした刺毛があるのですが、鹿が多く生息する場所とそうでない所では刺毛の生え方が違います)が目立ちます。
鹿が多いところでは チクチクする刺毛がたくさん生えて、植物も身を守る進化をしています。
面白いのは「ディアーライン」とよぶところです。 190cmより低いところは鹿が食べるので枝や草が生えないので、 遠くまで見通しがいいのです。食べられて困る木は金網カバーで保護されています。

http://d.hatena.ne.jp/ikomanokaze/20111107にも書いていますので、みてください。